自治体による認知症事故への安全網
認知症に起因する自動車事故が増えてきている、そして今後増えていくという印象ですが、免許の返納はあまり進んでいない様子。
そんな状況の中で、自治体による保険制度の導入で賠償責任の負担を軽減する取り組みが出てきているというニュースがありました。
「認知症」自体の予防は難しいため、事後の対応を考えた取り組みで、自治体としてできることからやっていこうというスタンスには異論ありません。
しかし、認知症発症者の「運転を減らすこと」で事故を減らす『返納』への取り組みも考慮してみてはどうだろうかと考え、駄文を書きつらねたいと思います。
返納を促す寓話
善良な市民や意識の高い市民に自主的な返納を促す「いい話」は、ネットでさんざん見かけているかもしれません。
判断力が残っていたから
父と母の卒業旅行
このあたりが代表的なところでしょうか。
こんな宣伝的な寓話を見るまでもなく自主的に返納されるような人から見れば作為的なのかもしれませんが、これらを見て気持ちが動いて返納された人もいることでしょう。
同乗するなら金をくれ
しかし、既に社会に出て何十年も運転をしてきた老練なドライバーにすれば、こうした良い話にも「どうせ作り話」「嘘松おつ」などと擦れた反応が返ってくることも想像に難くありません。
特に認知症を軽くでも発症していたり、認知症予備軍の高齢者の方々は、柔軟に考えたり、素直に受け止めたりする能力が劣化してしまっていることも多いです。認知症という病気を抱えていることに対しては、同情を禁じえません。
当の本人からすれば、同情なんていらないし「同情するなら金をくれ」と言いたいところでしょう。そして、こちらからすれば同情はしても、同乗はしたくない。それこそ「同乗するなら金をくれ」と言いたいくらいです。
本題:運転免許返納キャンペーン
話を本筋に戻します。
自治体と自動車保険会社が協力して取り組めるのであれば、例えば
- 「自動車保険掛け金の返還(日割りか全額か等は保険会社の裁量に任せた)」
- 「返納お祝い金(例えば「現金1万円」など現金だと返納率を高めそう)」
- 「公共交通機関チケット(タクシーチケットなど)配布」
を三点セットとして、運転免許返納キャンペーンを開催できないものだろうか。
保険会社からすれば、今後おそらく増えていく保険金の支払いを削減することができる。自治体からすれば、免許返納を促す広告費を原資に充てられるし、そもそもこのキャンペーンが広告そのものでもある。返納が進めば、結果的に公共交通機関の利用者数や利用率も上がる。
当初は三方一両損かもしれないけれど、自治体以外は将来のプラスにつながり、自治体は将来のマイナスを削減できるもの。
感情に訴えるだけでは足りない部分を補うには、やはりお財布や胃袋に訴える手段が次善の策でしょう。
そういえば、こんな話もありましたね。 grapee.jp
他にもこんな事例が・・・
そして、この投稿を書くにあたって検索していたら他にも様々な事例が出てきました。
囲碁や将棋と違って、世の中は「待った」が可能で、最善手を模索しつつ並行で様々な手を打つことも、打った手を改善してやり直したりすることもできます。国や自治体や企業、町内会から個人個人まで、人類が少しずつでも頭を使って行動して、良い方向へ向かおうとするなら、多少は足踏みしたり後戻りすることはあっても、長い目で見たときに間違いなく進歩していくことでしょう。