はじめに
はてなブログを始めた当初、密かに心に決めた目標がありました。
あんまり引っ張るほどの話題でもないので、いつもの与太話に逸れることもなく書いてしまうと、それは「投稿数が100本くらいになったら、はてなブログPRO に変更すること」でした。
途中で諦めるというよりも冷めてしまったと言った方が近い感じで、すっかりはてなブログを放置していたのですが、最近少しずつ再開し始めたのと、せっかく100本近くの投稿を書いてきたのでGoogle Adsense も始めようと思い、はてなブログPRO へのプラン変更と独自ドメイン化を進めることにしました。
さっそくなんですが、はてなブログPRO の説明ページを読むと、あまりメリットがなさそうで困った・・・。
既に無料版ではてなブログを使用していると、ダッシュボードの各所に「PRO」という文字が踊り、「この機能はPRO だけかぁ」と迷わせるのですが、説明ページのやる気のなさに今更ながら驚きでしたww
というわけで、もう少し具体的にはてなブログPRO について知りたい方は「はてなブログ PRO メリット デメリット」などでググってみてください。世界中のはてなブログPRO ファンが、ここぞとばかりにその魅力を語ってくれています。
ドメインって何さ
いや、もちろん知ってるんですよ、ドメイン。領域。区域。範囲。枠。くくり。
ただ、はてなブログPRO への移行にあたって「サブドメインしか使えません」ということがわかって、久しぶりにDNS レコードをさわってCNAME を設定したりするといろいろとおさらいしたくなるもので、順番に書き残しておこうと思ったのでした。
授業で説明することもあるので、この機に根本的なところから整理しておこうとも思い、イチから説明を残しておきます。(ただし、今回の困った内容に沿った流れで、特に体系的な知識が身につくものではありません)
仮想と現実
インターネット上でブログを公開したいとなったら、通常必要となるのはインターネット上の「場所」です。これは現実でお店を始めようと思ったときも同じです。
仮想と現実と書いていますが、論理世界と物理世界と言い換えても良いでしょう。ここで言う「論理」は「論理的」と言う場合の「論理」とは別物です。また、「物理」も「物理・化学」と言う場合の「物理」とは別物です。言い換えると逆にわかりにくいという方は、元の「仮想と現実」の辞書的な意味で理解した方が良いでしょう。
さて、現実の世界であれば不動産屋へ行き、テナントを借りれば、それは「土地」の上に「建物」があり、そこには「住所」も紐付いているのが一般的です。そして、既に建物が建っているならそこにはたいてい「名前」がついています。(政情が不安定で、近代化されておらず、住所や土地の所有権について曖昧な世界に関しては考慮から外してください)
これを仮想の世界で考えると、まず物理的な「土地」は存在しません。存在しない土地の上に仮想的に「建物」を立てることになります。存在しない「土地」が仮想的に無限に広がっているイメージを持ってもらえれば、それが「インターネット」です。(厳密に言えば、無限ではなく限りがあるのですが、それは一旦置いておきます)
現実世界であれば、「土地」には「住所」があり、買うなり借りるなりした土地の上に「建物」を建てるのですが、仮想の世界では「建物」にあたるのが「サーバ」で、建てた「サーバ」を「インターネット」上に登記することで「住所」にあたる「IPアドレス」がもらえます。登記したりIPアドレスをもらったりするのは、インターネットサービスプロバイダ(ISP)やレンタルサーバ会社の仕事なので、自分でやる必要はありません。
ここで勘違いと混乱を防ぐために、完全に区別して考えておいてほしいのが、「インターネット上でブログを開設すること(≒現実世界でお店を開くこと)」と「インターネットにアクセスしてWebサイトを見たりサービスを使うこと(≒現実世界でお店に行くこと)」の違いです。
今回の記事の中で説明しているのは前者についてです。後者の場合にも「インターネットサービスプロバイダ(ISP)」等の用語と説明が出てきますが、一旦そっちの話は忘れてしまいましょう。(※本当に忘却の彼方に置いてこないでください。あくまでも、頭の片隅にしまっておくという意味です)
現実世界でテナントを借りて、お店を始めるイメージがつかめない方は、個人で部屋を借りて独り暮らしを始めるイメージでも構いません。
自分で部屋を借りた経験もない場合は、この機に独り暮らしを始めてみてはいかがでしょうか?
レンタルサーバとブログサービス
ブログを始めるにあたって、単なる日記・随筆の類いとして記録や記憶のために始めるのか、アフィリエイトや個人のPRといった商業的な目的のために始めるのか、目的によっていくつかの選択肢が現れます。
大きく分けると、「サーバ」を借りて「ドメイン」を取得して「ブログシステム」をインストールして、イチから自分で用意していく方法と、各種のブログサービスを使用してブログを開始する方法があります。(イチ未満のゼロからスタートする方法もありますが、やはりここでは一旦置いておくこととします)
レンタルサーバを借りる場合
- レンタルサーバ会社の選択とプラン選択
- ブログシステムのインストール(ここでは仮にWordPress としておきます)
- ドメインの取得と紐づけ
レンタルサーバ会社でサーバを借りると、インターネット上に「建物(サーバ)」を建て「住所(IPアドレス)」を取得した状況になります。建物の上と言うか、中と言うか、そこに「お店(ブログ)」を準備(インストール)することがテナントに入ることにあたります。
現実の世界では、「住所」に建物の名前(=ビル名)が含まれますが、インターネット上では「住所(IPアドレス)」と「ビル名(ドメイン名)」が別のものになります。そして、ビル名とお店の屋号(=店名)が異なるように、インターネット上では「ビル名」はレンタルサーバ会社から割り当てられた「ドメイン」が、住所に紐づけられています。
例を混じえて整理すると下記の通りです。
- レンタルサーバ会社:エックスサーバー
- 住所(IPアドレス):xxx.xxx.xxx.xxx(実際には「x」に数字が入ります)
- ビル名(ドメイン名):sv__.xserver.jp(実際には「」に数字が入ります)
- お店(ブログシステム):WordPress
場合によっては、このままお店を始めることも可能です。後述しますが、「ビル名」そのままの名前で「URL」を用意して「開店(公開=インターネット上でアクセス可能な状態)」することが可能だからです。
しかし、ここではあくまでも独自ドメインを取得して、自前の「屋号」で認知度を上げたいし、アクセスしてもらいたいという前提で話を進めます。
そうすると、次に行うべきはドメイン屋さんに行って「ドメイン」を入手することです。ドメイン屋さんは、現実の世界では喩えづらいです。現実では「屋号」は屋号として商標登録されていなければ、既存の名前と重複することが可能だからです。商標登録の有無を調査したり、商標登録をしたりすることはありますが、必須ではありません。それに対して、ドメインというのは厳密に管理されていて重複することができません。
そこでドメインプロバイダというドメイン屋さんが存在するわけです。また、ドメイン屋さんにもいろいろあり、ドメイン専門店もあれば、レンタルサーバ会社がドメインを売っていたり、Google さんがドメインを売っていたりもします。
管理の手間を考えて、サーバを借りた会社で一本化する場合もあれば、少しでも安いドメイン屋を探す場合もあります。(同じドメインでも店によって値段が異なり、契約更新のタイミングで値段が変動している場合もあります。一般的にドメインは、保持している間ずっと使用料を払い続けることになります)
こちらも例を挙げておくと下記の通りです。
- ドメインプロバイダー:お名前ドットコム
- 取得ドメイン:xxxxxxx.com(実際には「xxxxxxx」は取得したい文字列で、「.com」以外のドメインの場合もあり)
ドメインを入手しただけでは、何も起こりません。現実の世界では、お店に看板を付けたり、のぼり旗を立てたりして、屋号を紐づけます。インターネットの世界では、DNS サーバまたはネームサーバというドメイン名の管理システムに情報を登録する必要があります。
ここがつまづきやすいハードルで、このネームサーバへの登録は、上記の「レンタルサーバ会社」または「ドメインプロバイダー」のいずれかで設定することが一般的です。(自分自身でネームサーバを用意して、そちらを世界中に公開する方法もありますが、それもここでは脇に置いておきます)
現実世界と対比することで誤解されそうなポイントを説明しておくと、現実世界ではお店の住所は「番地 + ビル名 + 屋号」となりますが、ネット上では「番地 = ビル名 = 屋号」となります。つまり「番地」でもアクセスできるし、「屋号」だけでもアクセスできます。(「ビル名」については、独自ドメインを紐付けるとアクセスできない場合があります)
これは「屋号」にあたる「ドメイン」を上記のような手順で、厳密に管理されている会社からしか買えないことで実現しています。同じ「屋号」が複数存在していると、たどりつけないことになってしまいます。
そして、購入した「屋号(ドメイン)」が、どの「住所(番地=IPアドレス)」に紐づくかを登録管理してくれるのが「DNS」です。
DNSに登録するというのは、別の言い方をするとネームサーバ(DNSサーバ)の対照表に、「屋号(ドメイン)」と「番地(IPアドレス)」をリストしてもらうことになります。(ここまで書いて今さらながら「住所・番地」よりも「緯度経度情報」の方がIPアドレスのイメージに近いかもしれません)
このあたりの仕組みを理解しておくと、ドメイン周りで何かトラブルが発生しても対処できるようになります。
ブログサービスを使う場合
- 利用するブログサービスの選択
- ドメインの取得と紐づけ
既存のブログサービスを利用する場合は、話は単純です。まずは独自ドメインが利用可能なブログサービスを選択しましょう。はてなブログのように独自ドメインの設定には、有料版での契約が必要なサービスもあります。
ドメインの取得と紐づけについては、レンタルサーバを利用する場合とほとんど同じなのですが、注意点がひとつあります。それは、レンタルサーバを借りていないため、ネームサーバへの登録はドメインプロバイダから行うということ。その場合の方法については、利用するブログサービスとドメインプロバイダ両社のマニュアルをよく読みましょう。
はてなブログの独自ドメイン化
やっと本題に戻ってきました。上記で「マニュアルをよく読みましょう」と書いたのは、つまり私自身がハマったからです...orz
ここからは私の環境に特化した話になるため、ドメインやサーバの利用状況が異なる方は参考程度に考えてください。
「筆者の環境」
- ドメイン入手先:お名前ドットコム
- 利用ブログサービス:はてなブログPRO(当初は無料版を利用)
- レンタルサーバ:エックスサーバー(ブログとは別用途で契約。途中まで無関係)
第一話:お名前ドットコム
独自ドメイン化はヘルプの指示通りに進めるだけで、問題なく設定できました。
次に取り掛かったのは、サブドメインの「www」がない場合の対応について。「www.example.com」でも「example.com」でもアクセスできるようにしておきたい。また、今回の件とは別件ですが、どちらも同一のサイトですよということをGoogle さんにも知らせておく必要があります。
ちょうど同じお名前ドットコムを利用している人がいて、URL転送サービスの存在を知る。
設定も済んで、しばらくは問題なく稼働していたのですが、ある日お名前ドットコムから悲しいお知らせが・・・。
上記のブログの最後にも追記されていますが、URL転送サービスが有料化されることが決まりました。
第二話:エックスサーバー
お名前ドットコムで取得したドメインが、同じくお名前ドットコムで借りたサーバに紐付いているなら問題なかったのですが、今回はドメインだけを単独で取得していたため、お名前ドットコムのネームサーバ(DNSサーバ)をいじることができません。(サーバを借りていれば、ネームサーバのDNSレコード設定をいじることができ、以下に書いたような作業は不要です)
有料化と言っても月額100円なので、払ってしまっても良いかという気もしました。
しかし、調べてみたところ(無料ではないけれど)これ以上の課金が必要のない手段を発見。
それがコチラ。
要約すると、既に借りている別のレンタルサーバのネームサーバを利用するというもの。先に重要なことを書いておくと、この記事中にある「WordPress のインストール」という工程は必要ありません。
必要な作業は、私の環境を例に要約すると・・・
- (お名前ドットコムで)取得したドメインのネームサーバを別のレンタルサーバ(エックスサーバ)のネームサーバに向ける
- レンタルサーバ(エックスサーバ)のネームサーバでDNSレコードにCNAME(はてなブログの元ドメイン)を追加する
- レンタルサーバ(エックスサーバ)のURL転送設定で「wwwなし」を「wwwあり」に転送するように設定する
この三点です。
余談
私のキャリアにはネットワークエンジニアとしてのそれが含まれるのですが、ネットワーク関連の知識を支えてくれたのが「3分間ネットワーキング」のサイトでした。
今回書いたような内容も全て根っこはココで学んだような気がします。「HTTP」や「DNS」などのWeb サイトに関わるところだけでも読んでおくと良いかもしれません。
最後の罠
『もう全部の問題をクリアして、独自ドメインへの変更が終わったはずだった。長い戦いは終わり、戦いの記録も全て書き上げたはずだった』
『しかし、ブログページにアクセスしても相変わらず元のはてなブログのドメインのまま・・・』
『京都の方へ恨みがましい目を向けながら立ち尽くす・・・』
『私が奈良県民だからなのか・・・?京都の結界が独自ドメインへの移行を拒否しているのか・・・?』
『考えても埒が明かないので、神に祈ることにした。(=Google で検索した)』
そして、いくつかの迷信的な検索結果の中から見つけ出した、たったひとつの真実が「再設定」でした。パソコンで言うところの再起動的なヤツです。(※迷信的というのは、ネット検索しているとありがちな「たまたまこういう行動をしたら問題が解決した。だから、原因はこれに違いない。どやっ!」という非科学的、または非論理的なヤツですが、誰もが陥る罠であり、私の書いてる内容にも混在していて「私、迷信的で非科学的な内容ちゃん。今、あなたのブログの中にいるわ」と言われているかもしれません・・・)
こうして、長い長い戦いは今度こそ本当に終わりました。めでたしめでたし。
久々の長文に最後までお付き合いいただいた読者に感謝多謝!!